裸で寝ていると、遠くからクリスタの声で銀行に行くと聞こえた。
ぼくは、昼過ぎまで寝ていた。ちょうど起きた頃、クリスタからメッセージがあり、友達といるが調子はどうだ?
と聞かれた。ぼくは寝ぼけ眼で、送られた地図の場所に歩いて出かけた。
が、wait for meとメッセージがあるのが気になっていた。ぼくを待つならwait for youなはずだ。
三越の前あたりで、公共Wi-Fiをゲットすると、ちょうどクリスタから電話があった。
思った通り、いまクリスタは家に着いたらしい。脱力しながら汗だくで帰り着くと、笑っている2人がちょうどアパートの下に出てきた。
クリスタの友達は日本人の女性で、なかなかフリーダムな印象だった。彼女は化粧を一切することなく、麻のニットキャップに、麻のダボダボの上着、太いパンツも麻のようだ。そして、草履を履いて、男子中学生カバンを愛用している。女らしさは全く感じられなかった。まるで尼さんのような出で立ちと、強い個性はぼくの興味をそそった。
3人で近所のセブンイレブンの外で会話していた時は、すでに暗くなっていた。彼女のヘアスタイルはオカッパ。元々スキンヘッドだったらしいが、毛がないのも毛があるのも手入れが面倒なので、こうなったと言っていた。彼女は、表現者であり、体を使って色んな表現をする活動をしつつ、ゲストハウスで働きながら、台湾に住んでいるらしい。クリスタは中々人を見る目があるようだ。
そのアーティステッィクな子と別れた後、クリスタは見せたいグラフィティがあると言って、廃墟のビルの塀を乗り越えた。4棟ある4階建のアパートは、各部屋に落書きがされ、グラフィティアーティストの練習場所になっている。クリスタは廃墟に忍び込むスリルと、グラフィティの自由さを見て、アドレナリンを満喫していたが、ぼくには然程興奮を感じられなかった。
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