失敗した、ミャンマーで安いタバコを1カートン買っておくのを忘れた。タイは1番安いタバコが65バーツ約230円なのだ。ミャンマーでは900チャット、約67円なのだ。
7時から朝食が無料で食べれるとの事なので食堂に向かった。ビュッフェスタイルで、赤いテーブルクロスが中国を思い出す。パン、コーヒー、オレンジジュース、マーガリン、ジャム、目玉焼き、スイカ、ソーセージ、トマトスライス、ケチャップ、茄子と豚肉のココナッツカレー、ライス。とりあえず全部食べて満腹。食べてる途中にトイレに行きたくなるほどだ。少しでも元を取ってやろうとセコイ真似をしたからだ。
そして10時にチェックアウトし、幹線道路までのんびりとした住宅街を歩いた。チェンマイへ行くか、メーホンソンへ行くかの分岐点に差し掛かった。チェンマイはこれまでに3回も訪れていたし、街中からのヒッチハイクは難しい。なので、ミャンマー国境沿いの道路をメーホンソンへ直接行ける山道を選んだ。日本でいうと山陰道路だ。ヒッチハイクは車幅が狭くて山の中ほど成功率が高いのだ。
手を上げて微妙に振りながら待つ事30分ほど、ボロボロのトヨタのトラックが止まってくれた。その後、バイクや車で小刻みに距離を稼ぎ、車線は一車線になり山の中に入った。一台のソンテウが止まってくれて、無料で良いとの事だった。乗客は赤ちゃんに乳をやりながら乗っている夫婦と、若い女性。ソンテウは中々乗り心地が良く、タイの道路は整っていて、眠ることができた。
気がつくと荒れた少数民族の大きな集落に着いて止まった。しばらく乗客を待ってさらに進み出した。途中、チェックポイントがあり、パスポートを提示した。タイ軍の兵士はM-16を持っていた。
いくつもチェックポイントがあるという事はミャンマーからゲリラや難民が侵入してくるからだろう。
いくつかの荒れたカレン族の集落から沢山の人が乗ってきてバスは満員になった。子供達が外国人である自分に興味津々で笑顔をしてくれる。とても美しい。子供は美しいが、大人の女性は太っていて愛想が悪い。
ソンテウは暫く林道を走り、中規模な街へ着いた。そこがそのバスの終点らしい。皆他のバスに乗り換えた。
地図を観ると近所にセブンイレブンがあるので寄ってみた。安いコーラを買って、面でポテトチップスを食べながらフルーツジュースを飲んでいるオーストラリア人のサイクリストと話した。彼はチェンマイからスタートしてバンコクへ行くらしい。その峠越えはピークで3000メートルを超えるという。私がミャンマーから来てタイは高いと言うと、彼は「時々安くて時々高いけど、オーストラリアと日本よりは安いだろ?」という言葉が頭に残った。その通りだった。
幹線道路まで歩いてヒッチハイクをするが、車の台数がかなり少ない。だが、近所まで一台のトラックが乗せてくれた。山の中の小さな小さな集落の家まで帰る途中だったらしい。
その集落から山の中へ歩いて行くと、S君の「歩いてますか?」というメールが思い出された。ずっと修行であり何も考えずに進むしかないのだ。
長閑な町メーサリアン
そして、長距離を稼ぐ二台の大型バイクが止まってくれた。ホンダのCBR560ccと、Benelliというイタリア車500ccだった。彼らは林道を高速で走り、直線では90キロを超えるスピードだった。有り難いのだが、前後への揺れが激しく、ブレーキで前のめりになるのを腕の力で止め、家族で後ろに引っ張られるのを腕で止める動作が1時間ほど続いた。
川沿いを走る景色が美しいのだが、見ている余裕はない。ヘルメット無しでシャツ一枚でも高速移動は疲れる。山頂は一気に気温が下がり、冷たい部分と暖かい部分が肌で感じられる。
やっと山頂で休憩となった。彼らはバンコクから来てAXAの保険で仕事をしていて、メーセリエンという街まで行くらしい。そしてホンダ車からイタリア車へ乗り換えることになった。イタリア車の方は荷台が付いていてハードケースで硬いが背もたれになる。加速時の力が要らなくなるのだ。これはかなり楽だった。そして運転も気を使ってくれていた。1時間半ほどで100キロを走り抜け、メーセリエンの街に着いた。
大きな街で、ここからチェンマイかメーホンソンへ行く分岐点となる。彼らはハイウエイポリスに事情を話してくれて、そこから2キロ先のキャンプ場へつれていってくれた。
メーサリアン フゥアイチョムプー森林公園
そのキャンプ場はかなり広い公園で、門番のおじさんは愛想よく色々案内してくれた。
そして屋根付きのコンクリートの床にテントを張らしてもらった。トイレも綺麗で水だがシャワーもある。何日滞在しても無料なのだ。
とりあえずテントを張り、飯屋を探しに出るとすぐ近くに焼鳥屋があるのを門番のおじさんが教えてくれた。20Bでドラムの唐揚げと、カオニャオ10Bを買って帰ると、キャンプ場のおじさんがバイクで来て門まで送ってくれた。
テントを張った場所にはテーブルと椅子もあり、なかなか美味しい夕食にありつけた。視線を感じてそちらへ目を向けると、暗闇の中に白い犬らしきものがボンヤリこちらを見ている。
肉の匂いでやってきたのだが、かなり遠くにいるし、呼んでも来ない。軟骨部分を残して床に置くと、すぐに咥えて持っていった。
そして早いが午後8時には眠りについた。タイ北部のしかも山の中の街の気温は朝に近づくにつれてとても寒くなる。だが、エマージェンシーシートが保温してくれた。そしてよく眠ることができた。
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