2016年8月3日

中国：東チベットのバックパッカー旅行　〜塔公→康定〜

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楽しかった塔公(タゴン)を去る日が来た。12時発の小さなローカルバスで廉定(カンディン)へ20元約220円で行けるのだ。12時までは時間があるので、塔公寺裏山にトレッキングに出かけた。塔公寺の外壁には、有名なマニ車がぐるりと囲んでいる。マニ車はひと回しすると、書かれた「オムマニパメフン」の経が読まれた事になるのだ。仏教やヒンドゥー教は、子供が喜ぶような物が多い。小さな子供はマニ車を手に持ってクルクル回し、大人の車のダッシュボードにはソーラーパワーで回るマニ車が可愛い。電源を入れるとお経が流れる小さな携帯お経プレーヤーもある。
ぼく達は川を渡り山を登った。急勾配なのですぐに息がきれる。中腹まで登ると、小さな石垣で囲われた小屋が見えた。中にはオートバイで来たチベタンが3人庭先で座っていた。そこで休ませてもらい、身振り手振りで話していると、どうやら高層が小屋で祈祷しているらしい。彼らはそのお迎えだろうか。ファンの出待ちだろうか。見てみたかったが、僕たちには時間がなかった。雨もパラパラ降り出した。急いで山を降りると11時ちょっと過ぎていた。彼女はまだ時間があると思い、もっと散歩してくると言い、11時半までにターミナルに来ると言って、一人でどこかへ行った。ぼくは宿に戻り、ザックを持って早めにターミナルへ行く事にした。宿の女がまだ昨夜の宿代を払っていないというが、彼女が全ての金を持っていたので、彼女の荷物を残し、バスへ向かった。バスにはすでに乗客がいて、一番後ろの席しか空いていなかった。まだ彼女は帰ってこない。荷物で席を確保し、外で彼女を待っていた。11時35分になってやっと彼女が帰ってきたが、宿のおんなもやってきて、ザックが置いてあると言う。彼女に宿代を払ってザックを取ってきてといった。バスはすでに満員で、立って乗るものもいた。走ってきた彼女が今度はトイレに行きたいと言う。まだ11時40分だが、喉も渇いているし、なにか飲み物も買いたいがむりそうだ。やはり移動日にトレッキングなんかするものではない。サスの悪い中華製バスで悪路を走るということは体力を消耗する。彼女が帰って来たらバスの運転手は11時50分にバスを発車した。満員なのでこれ以上待つ意味がないからだ。ぼく達は喉の渇きを我慢しつつ、となりに子供3人を連れた親子に見られながら、塔公(タゴン)を後にした。

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バスは街のはずれで停車し、何人かの乗客を降ろした。ようやく立っているひとは座れたようだ。乗ってくる客もいて、何人か入れ替わった。首から数珠を下げ、あずき色の袈裟を来たラマ僧らしき男が1ダースほどのビールを持ち、飲みながら横の席に座った。そのビールを見せてもらうと、パイナップルビールとかいてある。1本3元ほどだったので、1本譲ってくれないかと身振りで言うと、金はいらんと言う。そのラマ僧は歯で栓を抜いてくれ、ぼく達は糖分と水分と弱いアルコールにありつけた。気がつくとバスは高い山を登ろうとしていた。再び壮大なスケールの山を目の当たりにし、圧倒されていた。山道に入るとヘアピンカーブが多いので寝ていられない。寝ている乗客は皆起きだした。その山を越え、下って行くと廉定(カンディン)の街に辿り着く。次第に高層マンションが現れ、カンディンの街に到着した。ぼく達はお気に入りの宿、コンカユースホステルのドミトリーにチェックインすることができた。前回UNOで仲良くなったボランティアの女の子達が手を振って出迎えてくれたのは嬉しかった。ぼく達は洋食に飢えていた。宿に荷物を置いて廉定(カンディン)スクエア近くにあるDICOSというチキンバーガーの店へ入った。DICOSは、成都でお目にかかった中国のファーストフード店で、色んなところにチェーン展開している。廉定では、1階ではなく2階が高級な店が多い。1階には小さな店内で入口のドアのない定食屋か麺屋が多い。1階でドアがないので、乞食が堂々と店の中に入ってきて、客のテーブルを回り、金をせびる。しかし、2階の小洒落たバーガー屋にまでは入ってこない。中国もこんな食堂が減ると、乞食の食いぶちも減るのだろうか。ぼく達は久しぶりのレタスが入ったクリスピーなチキンバーガーを頬張り、氷の入ったペプシコーラで喉の奥へ流し込むのだった。DICOSを堪能したあと、廉定(カンディン)の街を散策してみた。夕方になると、人民広場では女性も男性も民族音楽で盆踊りのようなラインダンスを踊っていた。中国ではよく見る風景だ。皆の日課なのだろうか。朝は太極拳に路上習字、麻雀、賭けトランプなど娯楽がたくさんある。廉定は観光地なので土産物屋も多い。通ったことのない通りを入ってみると、麻専門の洋服屋を見つけた。リネンとコットンで作られた、民族衣裳テイストが盛り込まれたデザイン。その店の名は「麻衣部族」。帰りしな、アップルショップでWindowsを搭載したMacBook Airを発見した。最新機種だろうか。そして豆淡飯という、素朴な優しい豆と米の雑炊を食べてみた。それはインドかネパールのダルカレーを思い出したのだった。