タイ:ヒッピーとサイケデリック巡礼者の街パーイ

PAI

パーイはチェンマイの北西約146kmにある小さな街で、主に欧米人のバックパッカーやサイケデリックなトラベラー、ヒッピーが集まって、彼らの桃源郷のような楽園になっている。

タイでは、南へ行くほど物価が高く、北へ行くほど物価が安くなっていて、2000年前までは、コ・パンガンなどのフルムーンパーティーでは、多くのヒッピーや楽園を発見する先駆者たちが集っていたが、メディアが取り上げるや否や、リゾートとして観光地化してしまい、物価が跳ね上がり、開拓者は北へと登っていった。

そして、エレファントライドあり、渓谷あり、温泉ありの自然豊かなこの街パーイが今、タイでは最もピースフルで、チルアウトで、ラスタファリなバイブスを感じることのできる聖地となったが、いずれここも商業化されていくのであろう・・・

日本人や韓国人が殆どいないパーイの情報を得たのは、アメリカ人のヒッチハイカーでガラの悪いヒッピー娘であるクリスタからであり、その時期にチェンライで毎年行われている南正人ことナミさんのお祭り『』の客がチェンライから近いパーイへ流れて行くようで、その祭りに参加していたクリスタも流れに乗ったのだろう。そして彼女とパーイで再開することとなった。

チェンマイからバイクで大きな幹線道路を東に進み、左折すると次第に山道に入っていく。

146kmは丸一日かかる長い道のりだ。山道は別名ゲロ林道と呼ばれ、急勾配でカーブのきつい道が永遠と続くので、自分のペースでいけるバイクなら楽しいのだが、運転の荒いミニバスだと嘔吐することになる。

100cc以上のバイクだとスイスイと急勾配も登れるのだが、自分のバイクは50cc・・・そして、タイ人の作るカーブの斜面は日本ではあり得ないほどきついので、5km/hほどしか出せないのだった。

レンタルバイクを二人乗りした欧米人も多く行き違ったが、颯爽と抜いていった欧米人のバイク集団が案の定、カーブで転倒して脚を痛めているのを見て、調子に乗らず、マイペースで安全運転に徹するのがベストだと再確認した。

パーイまでの道のりには、小さな村もあって食事もできた。

手頃なドライブインに入って、出店でオレンジ色のパッタイと、肉団子を注文して冷たいコーラで喉の渇きを潤し、再び尻を痛めながらひた走った。

チェンマイの何車線もある交通量の多い道路を走るよりは、林道はやはり楽しい。

そして、パーイについたのは、日が沈む頃だった。

旧日本陸軍が作ったらしき橋のあたりが地図ではパーイらしいのだが、どうも小さすぎてゲストハウスも少ししかないし、閉まっている店が多い。

右往左往していると時間は刻々と過ぎていき、地元の人に道を尋ねるとそこから10kmほど先にパーイの中心地があるというではないか。

さらに山を超えていくと、次第に道幅が広くなり、観光地らしき景色になってきた。あたりはすっかり暗く、コンビニでWi-Fiをゲットして宿を探した。

目当ての宿は、川沿いのキャンプ場でテントを一晩300円で借りることができる宿だったが、もっと安いドミトリーもあったはずだ。

やっと橋を渡り、川沿いに開けたキャンプスペースにたどり着いた。

受付の小屋にはDJブースがあり、タイ人ではないスタッフがDJをして中々渋い曲をかけていた。

そのスタッフに尋ねると、どのテントでも使って良いという。一つのテントは大型で、3つの部屋があり、2人用のテントがちらほら疎らに張ってあり、一番奥の静かそうな場所のを選んだ。

ヤギが近くの木に繋がれていて、草刈りの役目をしているようだ。

木には籠編みのハンモックが数カ所にぶら下がっていて、中々ゆったりできそうな空間だ。

そして何より、自分のバイクをテントの前に止めれることが嬉しかった。このカフェレーサータイプの小さなバイクで登場した時の皆の「ワーオ、クール」というウケも嬉しいし、カンボジアからバイクで来たと言った時の皆の驚きようも嬉しかった。

受付の前の二つある屋根のある小屋というか、共同スペースは、スペイン人の女性と、ドイツ人の女性と、フランス人のカップルがいて、挨拶をして自己紹介した。

皆、笑顔で迎え入れてくれて感じが良い。明らかにチェンマイや他の訪れた場所と違うのは、彼らの発する匂いだった。それは、自分と共通するヒッピー特有の饐えた匂いであり、落ち着きであり、リラックス感であり、安心感でもあった。それを私たちは「同じバイブス」と言っている。

彼らは、その川原のキャンプ場という特別な場所でもあり、堂々とジョイントを巻いていた。そして、当たり前のように皆んなで回して楽しんだ。

DJをしているスタッフも勿論、ジョイントを吸いながら音に酔いしれている。

そう、ここは警官や宿のスタッフに怯えることなく、何も気にせずに大麻を楽しめる楽園なのだ。

この雰囲気は、ラオスのシーパンドン(ドンデット)でも味わった。

そして、何人かの住人と挨拶をして軽く話したが、一際目立っていたのが、イスラエリの男だった。

彼はワイルドで、上半身裸で、布一枚腰に巻いて、水のシャワーを浴びてビショビショになって濡れた手で握手をしたのが印象的だった。

キャンプ場は、パーイ川の橋を渡ったところにあり、キャンプ場の近くには手頃な定食屋もあり、100Bで色々と食べることができたがちょっと割高だ。

パーイ川を渡ると、ウォーキングストリートがあり、ナイトマーケットがかなりの広さで盛り上がっていた。

地元の店に加え、旅人たちの手作りアクセサリーやアートの販売や、大道芸なんかも楽しめる、他の地とは一風変わったマーケットであることが印象的だった。

屋台の食べ物はどれも100Bでちょっと高めだが、色々なストリートフードが楽しめる。

格安宿泊キャンプ場 Pai River Bridge

パーイ・リバー・ブリッジ(キャンプ場)

ホットシャワーなし。テントつき。

当然だが虫とか嫌いな人はやめたほうが良い。日本人、韓国人、台湾人には好まれないだろう。蚊とか虫とか居なくてふかふかのベッドで何不自由なく過ごしたいなら、パーイには来ないで南の島のリゾートで五つ星のホテルに泊まることを勧める。

近くにDON’T CRYというクラブだかバーだかがあって、週末は朝までどんちゃん騒ぎしている。パーイで遅くまで遊びたいならここしかない。

朝食にはブリーバナナが食べれる。そして安い。

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