パーイの街から約30kmの山の中にあるペーン温泉を今夜の宿に決めたのは、結果的に大失敗であった。
ワット・タム・ウア瞑想寺院を朝に出発して、パーイの街へ再び戻ってきた時はもう、日が暮れていた。
目的地のペーン温泉は、パーイから更に山道を1時間ほど進んだところにあるらしい。
アカ族だか、首長族だかの村を通り、途中の村の売店でバナナとカップ麺を食べて道を尋ねると、アスファルトではなく、コンクリートの道をずっと進んだところだそうだ。
心細いヘッドライトを頼りに、辺りは急に冷たい風になり、身体が芯から冷えてきた。
そして、湯けむりの中にたどり着いたペーン温泉は写真のような、無人の温泉地だった。
温泉が湧き出ているプールがあり、そこの温度はとても高くて入れないが、この曲がりくねった水路で冷やされて適度な温度の場所を探して、水路の中に浸かるようになっていた。
水は透明で、水路には苔が生えていてヌルヌルする。そして、夜なのでか誰もいない。
喜び勇んで、服を急いで脱ぎ捨て、裸で水路に飛び込むや否や、久しぶりの湯船と温泉で、身も心も癒されて顔がほころんでいく。
しかし、水路は幅1mほどで深さは60cmほど。なんだか変な気分だ。
夜空には満点の星達がきらめき、時折流れ星が筋を引いていく。彼女と来ればロマンチックこの上ないだろう。
世は更けて行き、気温が下がってくると適温の場所に移動しなければ水温も冷えてくる。
何時間浸かっていただろう・・・湯船に浸かったまま、うつらうつらして、寝てしまったり、起きたりの繰り返しで、近くの木にハンモックを張ることにした。
しかし、山中での夜間のハンモック泊は、たとえ赤道付近でも決して快適ではなく、とても寒いのだ。
10℃対応のダウンシュラフは絶対に必要だ。私が持っていたのはホームセンターで4000円未満のダウンじゃないシュラフでとても寒く、厚着をしても凍えるほどで、寒すぎて何度か温泉に飛び込んだ。
そんな事をしていると、とても快適ではなく寝不足となって夜が開けてきたのだった。
そして気温が上がりだしてやっと熟睡することができたが、今度は日差しが暑すぎて眠れなくなってくる。
そして、バナナを何本か食べて、温泉を後にしたのは昼前だった・・・
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