ラオス:バンビエン〜世界遺産の街ルアンプラバンへ

バンビエンから、ユネスコ世界遺産の街ルアンプラバンへは、13号線を通る道で228km、車で約5時間40分。最速ルートだと183kmで3時間ほどで着くようだが、交通量が多そうだったので13号線を選んだのが失敗だった・・・

朝早くに宿をチェックアウトして、荷物を纏めCD50Sの小さな後部座席に荷物を括りつけることに慣れてきた。

ラオスのライムストーン(石灰岩)の山々を遠くに感じて、緩やかな道路を軽快に走り抜けていく快感は、次第に尻の痛みへと変わっていく。

乾燥した赤土の大地に敷かれたアスファルトには時折大きな穴が空いている。よそ見をしていると、この穴に蹴つまずくことになるので、注意しながら運転する。

段々と山を登っていく道路の勾配がきつくなってきた。

大きな山を登り終えると、なだらかに下ったり、登ったりを繰り返す。つまり、山の尾根を走っているということになる。

道路を挟んで、所々に小さな部落があり、山岳民族が珍しそうにこちらを眺めている。

どの集落も貧しくて、女性は薪を背負って道路を歩いたり、道路がまるで彼らの庭のように使われているから、民家の中を通り抜けているような感覚になる。

川があれば、子供達が裸で泳いでいたり、道路脇で半裸になって水浴びをしている若い女性も見受けられ、目が合うとこちらが照れてしまう。

ラオス北部は広大な山脈が連なる、険しく奥深いバックカントリー(僻地)だったことを思い出した。

当然、大きな街であるルアンプラバンやバンビエンなどに行かなければ、銀行もないし病院もない。皆自給自足か、配達されるもので生活していることになるだろう。幹線道路沿いに住んでいる彼らはまだマシな方で、舗装されていない道路をさらに奥へ入った集落にはもっと文明からかけ離れた生活をしていることになる。

しかし、それは何百年も続いてきて変わらないことであり、電気があることで昔よりは楽になったのかもしれない。

各家庭には溜め水の桶があり、近くの小さな沢から運んでくるか、雨水をためているのだろう。

ルアンプラバンは遠い・・・

山道を走ること10時間以上、やがて日が暮れて、尻の痛さが限界になってくる・・・

日が暮れて標高が高くなると、気温が一気に下がり始める。

薄いウインドブレーカーを羽織り、靴下を履いて手袋をつけたが、どんどん寒くなってくる。

辺りは真っ暗になり、心細い光のヘッドライトでよく見えなくなってきた。段々と手の感覚がなくなって、身体は震えてきた。

その時、大きな穴に飛び込んでしまい、転倒してしまった。

「やってしまった・・・」

と、そんなにスピードは出していなかったが、足と腕を地面に擦り付け、痛みがある。

ウインドブレーカーは大きく破れ、スネあたりを5cmほど擦りむいて血が滲んでいる。

バイクは、左のヘッドライトカバーが大きく割れてヘッドライトカバーに付いたウインカーが落ちてコードでぶら下がり、スピードメーターも取れかかっている。

ハンドルは進向方向からずれていて、バックミラーが取れている。

クラッチレバーも折れて、使い物にならない。

何とか車体を起こしてエンジンをかけてみると、何とかかかるようだ。しかし、クラッチが使えないので、クラッチ無しでシフトチェンジすることになる。固定されなくなったヘッドライトを左手で持ち、最悪の気分のまま、1時間ほど走ってルアンプラバンまで走り続けた・・・

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