バンコク滞在 近所のお直し屋で防虫寝袋を作る

朝6時半に目が覚め、放尿と喫煙の為に起き、近所の商店でクリームパンを5バーツで買い、目玉焼きを焼いて、ネスカフェを淹れる。ナイススティックのようなクリームパンのクリームが思ったよりたっぷり入っていて、溢れるほどだった。砂糖もたっぷり使っていて、ほんのりマーガリンと蜂蜜の味がする。約18円なのに美味しすぎて声が出た。そして、もう一眠りすると、9時になっていた。

宿の前には英語が通じない酔っ払いが喫煙用の椅子に座っていて、フラフラで何か言っているが意味不。タイ語がわかっても彼が何を言っているか判らないほどの酔い方だ。

宿の斜め前のお直し屋さんに尋ねて、身振り手振りで伝えようとするが、全く伝わらない。一旦生地を取りに帰って、

「私は袋が作りたい。この布の両側を塗ってくれますか?」

と翻訳して用意した。縫製屋は、60代のお父さんがミシンの前と、奥にお母さんがいて、お母さんに翻訳を見せて生地を見せ、ネットで見つけた作り方の画像を見せるが理解しようとしない。「ノーノーノー」と言われて、諦めようとしたが、帰らないでいると、娘と息子らしき若者が帰ってきた。彼らは理解してくれようとして、紙とペンを持ってきてくれた。

できるだけわかりやすく、丁寧に絵を描いてサイズと縫い代を書いて説明すると、どうやらわかったようだ。長い布を半分に折って、両端を縫うだけなのだが、縫い代の幅や、強さが必要なこと、許容できる誤差も必要、巾着状に袋の口にはループが必要など、共通の言語なく口で伝えるのは難しいが、絵に描くとすぐに理解してもらえた。そして、彼らは生地のサイズを測り、実際に作業する父親に伝える。が、同じ言語のはずなのに、父親には中々伝わらないようだ。職人にイレギュラーな事に対応させるのが難しいのは国や年齢関係ない。理解するととても簡単な事なのだが。

工賃は200パーツと言われ、ちょっと高い気がしたので、値引きしてくれと頼むと、父親は20バーツ負けてくれた。縫製180バーツと、生地代125バーツで合計約1000円だと、安いと思われる。日本だと4000円はかかるだろう。明日の夕方4時に取りに来てと言われて、何か成立した嬉しさで満足した。明日の出来上がりが楽しみだが、期待しないでおこう。

昼飯は昨日買ったトムヤムラーメン。一つじゃ足りないので、近所の商店にもう一つ同じMAMAというブランドのものを買いに行った。この袋ラーメン大と小がある。小は6バーツのはずだが、店のオバちゃんは8バーツと言う。ノーノーノーと言って金を戻してもらおうとすると、「あ、それは6パーツだったわ」と、大きさを間違えたようだが、間違えたフリなのではと、疑ってしまう。そんな姑息な面構えをしているオバちゃんだからだ。このラーメン、お湯をかけるだけでは麺が柔らかくならないので、鍋で煮込む事にしてみた。だが、煮込みすぎて柔らかくなってしまった。うむ、クリームシュリンプトムヤム味と書いてあるが、その通り、期待してなかったからか中々美味い。

満腹になると睡魔に襲われ、起きたのは14時半だった。昨日の韓国人の女性からメッセージが来て、自分が明日チェックアウトだと気がつき、慌ててあと三泊追加した。三泊で1000円。悪くない。

今日はタイの祝日のようで、朝から宿の前で、車のサウンドシステムでタイ歌謡を爆音で鳴らしてビールを飲んで盛り上がっていた隣のローカルに参加して随分久しぶりのビールを飲んだ。彼らのノリはフィリピン人に似ていて、歌って踊って宴は永遠と続くだろう。日本の曲は無いのか聞くと、おじさんが「スバル!」と、懐かしの「さらば昴よ」を知っていた。

そして、サッカーユニフォームを来てRayBanのミラーサングラスをかけたオバちゃんが恋するフォーチューンクッキーをかけてくれた。そのオバちゃんがノリノリで宴に招いてくれたのだ。更に、車にはマイクがあって、カラオケを歌いだす始末。自由すぎて、いや、日本も昔はそうだった。今がルールとマナーに雁字搦めなのだ。わわエジプト人のサッカー選手と5時過ぎにスタジアム近くの夜市を勧められて、一緒にバスで連れて行ってくれるので、抜けることができる。夜まで続く宴会は引き際が難しい。色々ご馳走になったので、少ないが40バーツだけ払った。テーブルには、大きなソムタム(パパイヤサラダ)の皿と、淡水魚のスープ、茹でたタケノコと生キャベツ、少し肉のついた豚の背骨とフィッシュボールが入ったスープが並べてあり、勧められて料理を少し貰う代わりに、宿からオーナーが持ってきた大きなバケツに入った映画館で買えるポップコーン(キャラメルとチーズ)を少し分けてもらい、レジ袋に入れて持って行った。だが、皆さんチーズが苦手のようで人気がない。いや遠慮しているのか。

右隣に座っているちょっとウザい男がしきりに「お前とオバちゃん、チョップチョップ!」と連呼している。チョップチョップが何の意味が分からないが、オバちゃんのウケ方と照れ方で「付き合え」とか「キスキス」とか「ハメハメ」とかいう意味だろうと、笑って誤魔化した。それが面白いようで、何度も何度も連呼していた。そろそろ5時になり、私はトイレに行くと言って宿に戻った。オバちゃんも6時からバーで仕事だという。そして、宴はお開きになったようだ。宿に戻って暫くエジプト人を待ってみたが帰ってこない。

オーナーは熱心に宿を掃除したりシーツを洗濯したりしている。一人100THBの宿泊代で、一日に平均3人宿泊として、月に9000THB=32235円。家賃が5000THBくらいなら大丈夫そうだが、ギリギリか赤字なので別で働いているのだろう。沖縄の那覇に似たような状況の友達が宿を経営していたのを思い出した。

7時になり、暇なのでスタジアム近くの夜市に行ってみる事に。近所のバス停から北へ4.4キロ。真っ直ぐなのでバスは何本もあり10THBで行ける。どの番号に乗ったら良いか分からないので、横にいた男性に聞いてみると、英語は全く話せない様子。地図を見せるとわかったようで、しかも同じ方へ行くようで、ついていく事に。その男性の隣に座り、何だか変な気分。迷子の子供が知らないおじさんに付いて行っているようだ。キョロキョロする自分。驚いたのが、その男性は一緒の場所で降りて、付いて来いと言っているようだ。歩道橋を登り、中央分離帯を超えて夜市が見えてきた。歩きながら、「同じ目的地だったのか、それともまさか自分のために連れて来てくれたのか?同じ目的地だとしたら地図を見た時に同じだと言うか、驚きを出さないだろうか。」などと考え出し、夜市の入り口で礼を言って別れた。

夜市は店と店の間が狭くて人が多く、10THBで売られていたパッタイのようなものを買い、すぐに嫌になって外に出た。向かい側に並ぶ店の方が面白そうで、その小さな袋に入った焼きビーフンを食べながら歩いた。思った通り、色んな安い食堂が並んでいて、ムスリムの店が多いようだ。

いや、バンコクにムスリムが多いのか。その清潔とは言い難い、若者が多く座っている店を覗いてみた。店の前には、トレイに入れられたオカズ類が沢山あり、ダントツ人気だったのが骨付き鶏モモの煮物かカレーだった。店のオバちゃんに幾らか英語で聞くと、「わからん!」と無愛想に拒否された。これは下町の敵が多い場所で美味しい店の特徴なので諦めてはいけない。愛想なんか良くしなくても、「そうひっきりなしに客が来ないでくれ、ちょっと休ませてくれ」と言わんばかりに人気なのだから。そして、財布を出して指を指すと伝わった。指を3本立てて「サムシッバー」30THB=107円てことだ。これは今までのバンコクローカル食堂で最安値だ。色んなオカズから二品選んでご飯に乗せてくれる。こらまた愛想のない娘らしき暗い女の子が、ご飯が盛られた皿を持って待っている。焦る。何だかわからないが、赤い鶏肉的な煮物と、海老の入った煮物を選んだ。そして、日本のうどん屋のように無料らしき漬物的なキュウリを発見。それを指差すとその子が小皿を出した。もしかして10バーツ取られるのか?と思い、いや、いい、と断った。そして、相席で適当に座ると、奥から主人らしきおじさんが氷が入ってストローが刺されたステンレスのカップを持ってきた。「コレコレ!」と、料理よりむしろ、その霜が立ったカップに注ぐ水が好物で、自分のタイ名物なのだ。暑くて乾燥している時に水が一番美味しく感じる出し方なのだなと伝統を感じる。

そして、甘辛い料理がまた水を更に美味しくさせるのだ。そしてなんと、あの子が小皿にキュウリを入れてソースを添えて持ってきた。断るわけにもいかず、10バーツくらいいいか。と諦めた。まずは、朱色をした鶏肉あのブツ切りと、唐辛子、少しの野菜が入ったガイパッポンカリーを味わいながら、左手にフォークと右手にスプーンを持って少しずつ食べてみる。うむ、骨の量も多くなく身が多いし、野菜が少ないので高得点。そして辛すぎず、甘過ぎず、バランスの良い味付けで高得点。そして小皿の縦長に切られたキュウリに弱々しいフォークを突き刺し、生臭いソースを付けて食べてみる。乾燥した水々しくないタイのキュウリと、その自家製ソースが堪らなく生臭くて美味しくてクセになる。エビペーストとナンプラーとニンニクと唐辛子が入った感じの味だった。そう言えばタイのキュウリは大きくて、水っぽくなくて日本のより美味しいのだった。そして、名前はわからないが、川エビとエリンギ?がメインで、セロリ、パクチーが入った酸っぱくないスープ。これも甘過ぎず、辛過ぎず、素材の味が引き立つ。これにココナッツを入れたり酢を入れると臭いし素材の味を消してしまって不味くなる。ココナッツ入りトムヤムなんて以ての外。エビは殻付きのまま全部食べる。かなり満足して完食。これでキュウリがタダなら100点満点なのだが、人気のある所以な店を信じた。そして見事に100点だったのだ。もう一度行きたい。帰りに暫し歩くと、色んなタバコを扱う出店があり、巻きタバコや外国産タバコが破格の値段で売られている。マルボロが40THB=145円。その他も40から45THBなのだ。驚いて写真を撮って良いか尋ねるとダメだという。とりあえず、半信半疑でマルボロを買ってみた、たしかに赤のマルボロソフトケースなのだが、タイ名物の末期患者や癌の臓物の写真が付いていない。どこにもタイ語が書いていない。帰ってママの商店の息子に聞いてみると、マレーシアから密輸入した免税品らしく違法なものなのだ。タイで赤マルボロは145THB=510円で臓物の写真付きで売られている。その夜、オーナーと卓球をして、エジプトサッカー選手とポップコーンを食べながら長々と話し、袋ラーメンに卵を入れて食べ、Bicの大事なライターを無くしてふて寝した。

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