タイのラノーンからミャンマーのコータウンへ船で国境越え

早朝5時に、ラノーンのバスターミナルに到着した我々は、タイのビザ延長の為にミャンマー行きの港を目指してヒッチハイクを始めた。

ラノーンの街はとても小さくてのんびりしている。温泉があるという事なのだが、朝でも暑くて行こうと思わなかった。

商店街には、肉まん屋が開店していて10Bでほかほか出来立て包子が買える。肉まんを頬張りながらヒッチハイクを試みるが、中々止まってくれない。

と、その時、英語の話せる乗用車に乗ったおじさんが乗せてくれた。そして入国管理局の建物の前で降ろしてくれたのだが、どうも場所が違うようだ。

我々は船着場に行かなければ行けないのだ。その建物には誰も居なくて犬が沢山いるだけだった。要するに海沿いや川沿いの国境にはいくつもイミグレーションがあるのだ。もしくは、そこが本部で後は出張所なのか。

歩くこと数分、屋台の女性の頰にはタナカが塗られていて、すでにミャンマー人がチラホラいる様だ。

ラノーンの入国管理事務所 Ranong Immigration

船着場に到着した私たちを目撃するやいなや、一人の痩せたオバちゃんがやってきて、「ミャンマー?パスポート!カモン!」と言って、パスポートを持って早足にコピー屋に連れて行かれた。そして20B払ってパスポートのコピーを二枚受け取った。二人分のコピーとパスポートをそのオバちゃんとは持って早足で船着場の方へ行こうとすした。流石にパスポートを持ち去られた気分になり、オバちゃんを呼び止めてパスポートを取り戻した。

そのまま、船着場の横にあるイミグレーションの小窓にパスポートを差し出して、「どこに行くのか?何しに行くのか?滞在日数は?電話番号は?」と女性の係員に聞かれ、更に「ビザランか?」「そうだ」と答えた。

イミグレーションは渋々スタンプを押し、慌ただしい船着場は混雑していた。その熱気を利用してビジネスマンは50Bの船賃に250B上乗せした300Bという値段を言ってくる。

船頭もそれを黙認している。彼らは50B入れば良いのだし、文句は言えない。大体英語ができるビジネスマンやガイドが船頭に話をつけてロイヤリティを頂くという寸法なのだが、まず事務所を船着場には作って、客をそこに誘導する流れを作るべきだ。

そして、船頭にもワイロを渡して、事務所を通らずに直接船頭のところに来た客には「事務所に行け」と言わせるべきだろう。

人が集まってきて耳元で色々言われると混乱するので、まず状況を把握しようと落ち着きに離れた場所に行き、一服する。

上から様子を見ていると大体分かってきた。そして、船頭に指で値段を聞き、ジェスチャーで交渉した。すると50Bで良いとのこと。早速船に乗り込んだ。

船は細くて長い木製のボートで、屋根があり水しぶきと日差しが入らないように工夫されている。ひしめき合うボートは、整列などしないので、後から来たボートが隙間に入ってくる。すると船の舳先から前の船の側面に若干乗る形になり、手を水面に垂らしたりしていると、大声で注意される。多分大きなハサミのように船同士が重なり合うので、腕は簡単に切り落とされて魚の餌になるだろう。

10人ほどで満席になり出航した。時間は対岸まで30分程度。途中、島のイミグレーションに立ち寄り、軍人からのパスポートチェックもある場合がある。軍人は主にライフジャケットの着用を見ているようだ。

それほど波は高くない、深い緑の海を渡って対岸のミャンマーに間も無く到着した。海を越えてボートで国境を越えるのは初めてで中々貴重な体験だった。

ミャンマー側の街、コータウンに着くと、いきなりガイドマンが我先にと獲物である我々を襲ってくる。

コータウンの入国管理事務所 Kawthoung Immigration

イミグレーションの場所を案内してくれて一緒に手続きをしてくれるが、英語が話せる私には必要ないし、とても邪魔な存在だ。

イミグレーションは船着場から左の道路を歩くとすぐにあるが、小さな目立たない建物なので、初めての人はガイドに任せると良い。

荷物をX線でチェックされるが、しない場合もある。そしてその建物を海側に抜けて隣の小屋に入国管理局がある。事務所には衝立は無く、デスクで写真を撮られて、スタンプを押されて終了。

ガイドは「何がしたい?タバコ買う?」と言うので、「モヒンガーが食べたい」と言うと、屋台へ案内された。「お前は何者だ?ガイドなら要らないが」と言うと、屋台の前で消えていった。

小さな屋台には何人かの客がいて、食べるスペースがかなり狭いし椅子も小さい。荷物を背負ったまま食べることになる。そして初のモヒンガーは鍋の残りに春雨を入れて煮込んだような、だが不味くはない。

外国人でしかも日本人が珍しいようで、客も店の人も愛想を良くしてくれる。この街はタイバーツでの支払いが可能であり、モヒンガーは40Bだった。どうやらガイドが20Bほどロイヤリティを持っていったらしい。ミャンマーにしては高すぎる。

そして、狭くて混雑した市場を練り歩いてみた。マコトはミャンマー製のタイガーバームを買っていた。タイの若者には嫌われる匂いだ。それを気に入って虫除けにもなると思い込んで、嫌がられるのも気にしないでマコトは全身に塗って樟脳の匂いをさせている。

店先の女の子は皆若くてタイ人のように肌が黒く無く、色白でステキな笑顔を見せてくれるので、あなたはミャンマーが好きになるだろう。

歩き疲れたので、米屋が営むカフェでコーヒーを頼んだ。ミャンマーのカフェではネスカフェやミルクティーのパックをお湯で溶かす物が出てくるがとても安い。そして必ずジャスミン茶のポットが置いてあり、コーヒーとお茶を飲むベトナムスタイルなのだ。

カフェのテーブルにはお茶菓子が置いてあり、100チャットでサモサやあんドーナツや、揚げパンが入った皿を思わず手を出させるように置かれる。食べた分を支払うシステムだ。

余計なものをたくさん持ってきたマコトは荷を荷が重くなり、その店に荷物を置かせてもらって更にウロついてみた。

私はラッキーストライクを1カートン買うことにした。確か一箱150円ほどだった。タイで買うより遥かに安い。

そして、ミャンマーを満喫した我々は来た道を辿るようにラノーンへ帰った。マコトは初の遠征にエキサイトしていたようだ。

帰りにマコトが予約した宿まで行く事にしたが、宿はなんとバスターミナルの真横だった。またターミナルまで戻らなくてはならない。

満員のソンテウでバスターミナルまで行き、かなりオンボロな宿のツインの個室に二人で泊まることにした。値段は1人200B、水シャワーで朝食無し、エアコン無し。

宿の女将さんは豪快で、サングラスにハードなTシャツ、皮のウエストポーチにジーンズという、まるでアメリカの暴走族のようなスタイルで、ラピュタに出てくるオバさんのようなキャラだ。

そして樟脳の香りのする相方と同じ部屋で寝ることになった。

キウィ・オーチド・アンド・ゲストハウス KIWI ORCHID & GUESTHOUSE

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